1 概要説明(H17-18年度)
@低品質胚を低温に保ち、移植まで生存させる技術を開発する。
A低品質胚を凍結保存する技術を開発する。
B低品質胚を移植するときの簡易化を検討する。
2 事業の背景・目的
低品質胚とは、高能力で正常な子牛に発育出来る能力を持っているが、生きた細胞数が少ないために凍結保存に弱く、多くの場合廃棄されている受精卵のことである。低品質胚は採取胚の20〜30%も発生してしまう。また性別の判定や遺伝子診断等をされた胚も、品質が低下している。このような低品質胚の利用を可能とすれば、受精卵移植により生産できる優良子牛の頭数が増加する。
3 事業内容
(1)低品質胚の低温(非凍結)による保存技術(H17-H18年度)
低品質胚を移植する牛が用意できるまで、一時保存出来る技術を開発する。
(2)低品質胚の凍結保存(H17−H18年度)
低品質胚は通常の方法で凍結保存すると多くは死滅してしまう。最新の方法、さらに技術改良した方法により凍結保存法の開発を目指す。
(3)低品質胚の融解法の検討(H18年度)
最新の凍結方法は融解の方法が煩雑で農家の庭先融解に対応しにくい、そこで凍結された低品質胚を農家で容易に融解し移植できる技術を検討する。
4 これまでの成果
(1)低品質胚の低温保存
培養と低温の組み合わで72時間の保存までは可能であったが、保存時間が不十分で、実用性が認められなかった。
(2)低品質胚の凍結保存
@凍結保存
無処理の低品質胚の凍結は最新の方法でも生存性が低かった(20%、1/5)。
A透明体切開後凍結保存
胚の透明体(卵の殻に相当)を予め切開して発育を促進する処理を検討したところ、受胎例(50%,2/4)が得られ始めた。
5 廃止する理由
低品質胚の凍結保存方法が、利用可能となってきたが、農家の庭先で低品質胚を移植するときの簡易化が必要であるので、新規課題の「ガラス化保存による牛性判別胚の簡易融解技術の確立」、に試験を統合し技術開発を進める。