1 制度導入の趣旨
学校長が独自性を発揮した学校運営ができるように予算執行に関して学校長の裁量権を拡大し、学校の自立度を高めるとともに特色ある学校づくりに繋げることを目的として平成18年度より導入。
2 導入の効果と検証
(1)県立学校裁量予算評価検討委員会での主な意見
【評価できる点】
- 学校が重点的に取り組みたいソフト事業へ予算を振り分けることができるため、より特色を出しやすくなった。
- 自由度や弾力性が高まり、教員が予算に関心を持つなど教職員の意識改革にもなり大変評価できる。
- 養護学校などでは突発的な事態が起こりやすく、学校独自の判断で柔軟な対応ができる制度と高く評価。
【課題・問題点】
- 節減しても次年度に予算が減らない仕組みが確立されなければ、教職員の予算を使い切るという意識は変わらない。
- 節減した状況・理由を明確にして査定し、内容に応じて次年度の配分割合を変える仕組みが必要。
- 旅費の予算額が大きく不足しており実態に合わない。
(2)今年度の流用の現況
流用実施校 21校/全31校
運営費部分をソフト事業に振り向けた事例
- 学力向上推進事業で外部講師を招へい
- 進路講演会の講師として県外講師を招へい
- 図書購入費の増額
※導入初年度でもあり、年度途中では執行見込みの精査が難しいため、年度後半に向けて流用を行う学校が増える見込み。
(3)学校アンケート結果
「良い」「どちらかといえば良い」という評価を多く受けた項目
- 予算流用が自由にできる。(87.1%)
- 事業の重点化を図ることができ、学校の特色が出せる。(77.5%)
- 教職員の経費節減の意識が醸成される。(61.3%)
- 教職員の予算に関する関心が高まる。(58.0%)
- 自立へのモチベーションが高まる。(54.8%)
課題であるとの評価を多く受けた項目
- 節減すると来年度予算を減額されることを懸念する。(77.4%)
- 節減による余剰見込みの判断が難しく、思い切った執行ができない。(67.8%)
3 来年度に向けた改善点
(1)ソフト事業
教育課題解決のための各学校の特性に応じた戦略的なソフト事業へのシフト
- 学校自らが自校の教育課題を分析して事業を立案
- 学校自らが予算要求書を作成し、教育長がヒアリングを実施
対象事業の拡大
- 生徒自主企画支援事業
- 文化部活動充実支援事業の一部
- 社会人講師活用事業の一部
(2)旅費
過去の執行実績を踏まえた真に必要な予算額の確保
- 臨時的要素を加味
- 節減分の復元措置(前々年度節減額分を要求)
(3)非常勤講師の配置
校長への権限委譲
- 配分された非常勤講師の時間数を、校長が自由に教科や役割を決定
(4)学校運営費
節減しても次年度に予算が減らない仕組みづくり
- 節減分の復元措置(前々年度節減額分を要求)
- 節減した内容に応じて予算配分
対象事業の拡大
- 専攻科運営費
- 高校教育改革整備事業費(教材等の消耗品費)
4 19年度要求額内訳