1 背景と目的
○平成16年の新潟中越地震、昨年の福岡西方沖地震などにおい
て、造成宅地を中心に多くの地盤災害が発生。
○今後発生が予測される大規模地震においても造成宅地において
崖崩れや土砂の流出により大きな被害の発生が懸念される。
○このことから都道府県知事等(特例市の区域内は特例市の長)
は滑動崩落による災害で相当数の居住者等に被害が発生する
おそれが大きい造成宅地の区域を「造成宅地防災区域」とし
て指定し、その区域内の宅地所有者等に対し災害防止のため
の必要な措置をとることを勧告・命令できるよう宅地造成等
規制法が改正された。(H18.9.30施行)
○これと併せて造成宅地の居住者等への情報提供・周知と大規模
盛土造成地の変動防止を促進するため「宅地耐震化推進事業」
が平成18年度に創設された。
○これらの動きを受け、本県においても災害に強い地域づくりを
目指し、県民の居住の安定と安心快適な住環境づくりを実現す
るため、既存の大規模盛土造成地の調査および変動予測を実施
し、大規模盛土分布図の作成等による住民への情報提供等を図
ると供に造成宅地防災区域を指定し、造成宅地の耐震化を推進
する。
【大規模盛土分布図の作成イメージ】
2 事業概要(全体)
(1)大規模盛土造成地の変動予測調査
ア 調査対象区域
- 県内の山林、平野部を除く大規模盛土造成地が存在すると想定される区域(鳥取市(特例市)を除く)
イ 調査対象の造成宅地
- 盛土の面積が3,000m2以上
- 盛土をする前の地盤面の角度が水平面に対し20度以上、かつ、盛土の高さが5m以上
ウ 調査手順
@第1次スクリーニング
- 調査対象地域の設定
- 大規模盛土造成地の位置と規模の把握
- 第2次スクリーニング計画作成
- 大規模盛土分布図の作成、公表
A第2次スクリーニング
- 現地調査(ボーリング等による土質調査、地下水位の調査等)
- 安定計算(変動予測)
- 造成宅地防災区域の指定要件を満たす大規模盛土造成地を抽出
- 滑動崩落による災害で相当数の居住者等に被害が発生するおそれのある造成地
- 現に滑動崩落、擁壁の沈下等が生じている造成地
(2)造成宅地防災区域の指定
上記(1)の調査結果を基に、県は関係市町村長の意見を聴いて造成宅地防災区域に指定(法第20条)し、所有者等に対し、必要な災害防止措置等の勧告(法第16条)を行う。
*滑動崩落防止工事を実施する大規模盛土造成地活動崩落防止事業については調査結果を基に平成20年度以降に実施を検討する。
3 H19年度事業
○第一次スクリーニングを実施する
○所要額:8,500千円(国費1/3)
- 土木工学、地震工学の有識者(大学教授等)をアドバイザーとして意見を聞きながら事業を実施する。
※H20年度以降
- 第1次スクリーニングの結果に基づき、第2次スクリーニングを計画的に実施する。
- 5箇所を想定した場合の所要額:約30,000千円