【総務部長査定】
産業分野での活用に向けた取組は、これまで研究を行ってきた鳥取大学の産学・地域連携推進機構等での対応が可能であり、県が支援を継続しなければならない必要性は低いと考える。
1 事業の必要性
○(財)日本きのこセンター菌蕈研究所の基礎研究部門を鳥取大学に移管。(H17年4月:研究員1名、約1,000種・10,000菌株の遺伝資源の譲渡)
○鳥取大学農学部附属菌類きのこ遺伝資源研究センター設置。 (H17年4月) ○鳥取大学が基礎研究に取り組むと共に、県は産業分野での活用を進めるため、鳥取大学に寄附講座を設置
(H17〜19:3,000万円×3年)
@菌類きのこ遺伝資源の応用研究に関する研究費支援
(800万円/年)
A鳥取大学に派遣した菌蕈研研究員の人件費支援
(2名:2,200万円/年)
<成果>
@菌類きのこの有効利用に役立つデータベースを構築
( 1,000種、10,000株のきのこを収集と分類、保存管理)
A環境応用など産業利用が期待できる研究成果が出てきた。
<例>
●きのこを活用した汚染土壌の浄化技術
( ダイオキシン分解力の高いきのこ種(ヒトヨタケ、ショウロ等)発見)
●乾燥地緑化に貢献する高耐乾性クロマツ苗木
(ショウロ菌のクロマツ人工感染技術、感染苗木の育種技術)
○しかし、鳥取大学産学・地域連携推進機構で企業との意見交換会を開催するなど企業に対して、同機構のコーディネーターを通じて研究内容を紹介したが不調に終わり、企業で活用できる実用化レベル(県内企業への普及)に至っていないとの評価。
(機構コーディネーターの意見)
・食材、医薬品を含め、事業化を念頭に置いた技術開発を企業等の意見を聞いて行うべき。
(鳥大の考え方)
@大学は菌類きのこの基礎研究を引続き行う。
A実用化に向けた研究については、2名の派遣研究員を大学に採用するが、研究費については何らかの県の支援を要望。その際は、産業界のニーズを踏まえて取り組む意向。
→ 事業化を視野に入れた実用化研究を設定するため、大学・産業界に精通したキーパーソンを中心に、実用化への議論を進め、ビジネスモデルの作成と実用化に結びつける調査研究が必要。
(本県から全国・世界に発信できる数少ない研究分野が潰える恐れがある。)
2 事業概要
本県特有の研究資源である「菌類きのこ」に着目し、(財)鳥取県産業振興機構を拠点とする基礎研究の成果を産業シーズ創出に繋げるためのプログラム実施を助成。
菌類きのこ遺伝資源活用推進プログラム実施補助金
・補助額:9,644千円(補助率:10/10)
・交付先:(財)鳥取県産業振興機構
3 実施プログラムの内容
実用化の見込みのある研究分野を探るため、産・学に精通した人材を中心に、異分野の関係者により、意見情報交換を進め、その中から出てきた有望なテーマについて、事業化可能性を高めるための調査研究を鳥取大学に委託する。
(1)専任マネージャーの配置(6,286千円)
・大学や産業界に精通し実務能力に優れた人材(1名)を配置し、ビジネスモデルの作成、異分野連携ネットワークづくりを行う。(6,007千円)
・菌類きのこを応用した研究開発動向や市場性の調査を行う。(279千円)
(2)異分野連携ネットワーク形成と調査研究委託
(3,358千円)
@「菌類きのこ」産業シーズ創出検討委員会(358千円)
・事業化に繋がるシーズ創出について、専任マネージャーのコーディネートの下で、以下の分野に関心のある研究者等が研究分科会においてビジネスモデルを検討する。
(a)新規食材開発、(b)機能性物質探索と医薬品応用、
(c)環境応用
・研究分科会の検討内容を基に、事業展開の可能性を中心に研究の方向性を検討し絞り込む。
A「菌類きのこ」活用に関する調査研究の委託
(3,000千円)
・検討委員会の検討と連携し新たな技術開発を行う。菌類きのこ遺伝子菌株の産業利用に向けた研究を委託。
【委託先】鳥取大学農学部附属菌類きのこ遺伝資源研究センター
4 復活要求額 9,644千円