これまでの取組と成果
これまでの取組状況
(1)ハイブリッド無花粉スギの創出
・県内優良スギ(42系統)が無花粉形質を保有しているか確かめるため、無花粉検定を行った。
・無花粉遺伝子を保有しているスギ品種と県内優良スギを交配し、ハイブリッド無花粉スギの母樹となる49家系(精英樹26家系、スギカミキリ抵抗性品種3家系、天然スギ19家系、耐雪性品種1家系)を作出した。
・ハイブリッド無花粉スギ(F2の中に存在)を創出するため、F1家系同士の交配を23通り(精英樹17通り、スギカミキリ抵抗性品種4通り、天然スギ2通り)実施した。
(2)林木品種改良事業
・次代検定林の成長調査により各品種の諸特性を明らかにし、採種穂園の改良及び推奨品種の選出を行う。
・次代検定林の設定後、20年次までは5年毎に、21年次以降は10年毎に成長量等の調査を行ってきた。平成30年度は、2ヶ所(2ha)の定期調査を行い、データの収集及び解析を行った。また、次回調査のために調査木をマーキングした。
これまでの取組に対する評価
(1)ハイブリッド無花粉スギの創出
・無花粉検定の結果、県内優良スギ(42系統)が無花粉遺伝子を保有していないことを明らかにした。
・ハイブリッド無花粉スギ創出の母樹となるF1集団49家系を作出するとともに、これらF1同士の交配を着実に進めている。
・別課題で選抜した「材質強度に優れた品種」が無花粉遺伝子を保有しているか確認するとともに、今後ハイブリッド無花粉スギの母樹に加える予定である。
(2)林木品種改良事業
・今後の林業における造林材料として、低コスト育林を可能にする成長性に優れた品種が求められている。これまで継続して行われてきた次代検定林の調査によって推奨品種を提示できるようになった。
また、単に成長に優れるだけではなく、少花粉形質や材質強度といった優良形質を備えた品種が明らかになってきており、新たな経営目標に合致した材料供給に貢献すると思われる。