事業名:
鳥取の花きとシバ栽培を支える安定生産技術の確立
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農林水産部 園芸試験場 花き研究室
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事業費(A) |
人件費(B) |
トータルコスト (A+B) |
正職員 |
非常勤職員 |
臨時的任用職員 |
31年度当初予算額 |
4,615千円 |
22,226千円 |
26,841千円 |
2.8人 |
2.8人 |
0.0人 |
31年度当初予算要求額 |
4,615千円 |
22,226千円 |
26,841千円 |
2.8人 |
2.8人 |
0.0人 |
30年度当初予算額 |
4,728千円 |
23,049千円 |
27,777千円 |
2.9人 |
2.8人 |
0.0人 |
事業費
要求額:4,615千円 (前年度予算額 4,728千円) 財源:単県
一般事業査定:計上 計上額:4,615千円
事業内容
概略説明
(1) | 本事業は、本県で生産額が多いか今後需要が期待できる花き4品目に絞って試験を行う。切り花(ストック、シンテッポウユリ、トルコギキョウ、アスター)、花壇苗、実付き枝物、シバ。 |
(2) | 県内の切り花や花壇苗は、施設と露地が約半々で生産されている。施設の約6割はスイカ等夏野菜の後作として栽培されているが、暖房がないため気象の影響を受けやすく、収穫期が大幅に遅れたり切花長が短く市場から頻繁にクレームを受けている。 |
(3) | これまで全国に先駆けて行っているEOD栽培を、本県特産切り花や花壇苗に応用し、無加温でも品質向上や栽培期間の短縮に繋がる新たな栽培法を確立する。 |
(4) | 一方、露地で栽培されるシバや枝物などは、野菜や果樹の補完品目として栽培可能だが、シバは生産者の高齢化で土壌改良が行われず生理障害が多発している。そこで、簡易な土壌改良による生理障害抑制法を確立する。さらに実付き枝物は、新たな樹形管理法等の検討で省力・高付加価値栽培法を確立する。 |
1.事業の必要性
(1) | 切り花:県内の切り花は、ストック、シンテッポウユリ、アスター、トルコギキョウなどが生産されている。これまで検討してきたEOD栽培を、本県特産切り花に応用し、無加温でも栽培期間の短縮や品質向上につながる栽培法の確立が求められている。 |
(2) | 花壇苗:早春に出荷する花壇苗は加温や保温が不可欠だが、燃料費の高騰により経営が圧迫されている。花壇苗は草丈の短いコンパクトな草姿が評価が高いことから、切り花とは異なる技術確立が求められる。EOD光照射やEOD保温とわい化剤の併用で、栽培期間の短縮とコンパクト化のマニュアルを組み立てる必要がある。 |
(3) | 実付き枝物:省力・高付加価値化のための誘引や落葉法などが明らかになりつつあるが、個々の技術を組み合わせた栽培法を検証する必要がある。 |
(4) | シバ:全国第2位の栽培面積だが、土壌改良が後回しになり黄化症などの生理障害が多発している。簡単に取り組める草勢向上のための栽培技術が求められている。 |
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 | 対象者:切り花生産者のべ150戸、花壇苗・鉢物生産者80戸、露地農地を有する県内花き生産者300戸 |
2.事業の内容とH31年の試験内容
(1)切り花の安定出荷
ストック | これまでの成果 | ・第1小花開化期にEOD光照射を打ち切ると、開花促進効果を得ながら花穂の間延びが抑えられた。また、花芽分化前に遮光を行うと開花が遅くなり、葉数が増加した。 |
H31年の試験 | ・EOD光照射時の施肥・かん水による品質向上。
・EOD光照射、遮光、PCa(植物成長調整剤)散布等、開花調節技術の併用効果。 |
シンテッポウユリ | これまでの成果 | ・元肥に肥効調節肥料(樹脂被覆肥料)を用いることで、従来施肥よりコストが3分の1に減り労力も削減された。
・定植後の多潅水は、少潅水よりも抽台(茎の伸長)率および切り花品質が向上した。 |
H31年の試験 | ・露地作型の長期(7〜9月)連続出荷体系の確立
・生育ステージに応じた潅水管理の検討 |
トルコギキョウ | これまでの成果 | ・簡易夜冷育苗とEOD光照射を併用すると、終日冷房で育てた苗と同等に草丈が伸長し、育苗コストが削減できた。 |
H31年の試験 | ・EOD光照射とEOD保温の組み合わせによる秋冬出荷作型の低コスト栽培法の確立 |
アスター | これまでの成果 | ・秋冬出荷栽培では、FR(遠赤色)光よりR(赤色)光や蛍光灯で草丈伸長効果が高かった。 |
H31年の試験 | ・赤色光や蛍光灯の点灯、消灯時期の組み合わせによる開花促進や抑制法の検討。 |
(2)花壇苗の低コスト開花促進
これまでの成果 | ・花き類46品目のうち36品目は、EOD光照射で開花が促進し、切り花長が伸長した。
・花き類46品目のうちガーベラなど24品目は、EOD加温で開花が促進し、花数が増加した。 |
H31年の試験 | ・EOD光照射とわい化剤の組み合わせが効果的な品目・品種の検索
・温床や小型トンネルを利用した簡易EOD加温(保温)法の検討
・EOD光照射+EOD加温(保温)+わい化剤を組み合わせた早春出荷法の検討 |
(3)実付き枝物の省力高付加価値栽培
これまでの成果 | ・果樹棚を利用したツルウメモドキの誘引法は、労働時間が慣行栽培の20分の1になった。
・ツルウメモドキは出荷前の常温乾燥で8割以上が落葉し、摘葉作業が省力化できた。 |
H31年の試験 | ・ツルウメモドキの地這い誘引や一文字整枝による短枝多収技術の確立。
・サルトリイバラ簡易落葉のための自然乾燥時間の検討 |
(4)シバの生産性向上をめざした栽培技術の開発
これまでの成果 | ・オリジナル品種‘グリーンバードJ’は早期にかん水をやめても、株張りに影響がなく、かん水施設の簡素化が可能と考えられた。
・‘グリーンバードJ’の砂土栽培は籾殻くん炭混和などの土壌改良や、ローラー鎮圧を行うと根が表層に集まった。
・‘グリーンバードJ’の沈み症(仮称)発生は、施肥量や施肥時期が影響していると考えられた。 |
H31年の試験 | ・‘グリーンバードJ’の改良資材と鎮圧を組み合わせた砂土栽培法の確立
・シバ生理障害、沈み症および黄化症抑制のための施肥スケジュールの確立 |
3.事業の効果
品目 | 技術確立後 |
切り花 | ストック | ・出荷期の分散化と品質向上により切り花単価向上で粗収益を20%向上 |
シンテッポウユリ | ・出荷率65%→80%に向上 |
トルコギキョウ | ・無加温による秋冬出荷技術の確立 |
アスター | ・出荷期の分散化と草丈伸長により切り花単価10%向上 |
花壇苗 | ・主要花壇苗50品目のEOD光照射・EOD保温と、わい化剤併用に対する反応性の解明 |
実付き枝物 | ・樹形管理と落葉法の確立で栽培面積3ha→4.5haに増加 |
シバ | ・生理障害抑制により‘グリーンバードJ’栽培面積25ha→35haに増加 |
4.H31年度要求額内訳(単位:千円)
内訳 | 要求額 |
栽培資材費、実験用器具・試薬 等 | 4,086 |
普通旅費 | 279 |
役務費 | 250 |
合計 | 4,615 |
5.年度別試験内容と事業費(単位:千円)
事業実施期間:平成31年度〜35年度
年度 | 試験内容 | 事業費 |
H31 | (1)
(2)
(3)
(4) | 切り花
・ストック:施肥、潅水法の検討
・シンテッポウユリ:生育に合わせた潅水法の解明
・トルコギキョウ:EOD光照射に反応性の高い品種の検索
・アスター:効果的な光源と光強度・照射時間の検討
花壇苗:EOD光照射+わい化剤処理の検討
枝物:新たな整枝による高付加価値栽培法の検討
シバ:砂土栽培法の検討、生理障害抑制法の検討 | 4,615 |
32 | (1)
(2)
(3)
(4) | 切り花
・ストック:施肥・潅水法の検討
・シンテッポウユリ:生育に合わせた潅水法の解明
・トルコギキョウ:EOD光照射に反応性の高い品種の検索
・アスター:効果的な光源と光強度・照射時間の検討
花壇苗:EOD光照射+わい化剤処理の検討
枝物:新たな整枝による高付加価値栽培法の検討
シバ:砂土栽培法の検討、生理障害抑制法の検討 | 4,615 |
33 | (1)
(2)
(3)
(4) | 切り花
・ストック:施肥・潅水法、開花調節、開花予測技術の検討
・シンテッポウユリ:生育に合わせた潅水法の解明、細霧ミスト等利用による抽台率向上
・トルコギキョウ:夜冷育苗+EOD保温+光照射の併用効果
・アスター:開花調節に効果的な消灯や点灯時期の検討
花壇苗:EOD加温(保温)+わい化剤処理の検討
枝物:サルトリイバラの簡易落葉法の検討
シバ:砂土栽培法の検討、生理障害抑制法の検討 | 4,615 |
34 | (1)
(2)
(3)
(4) | 切り花
・ストック:施肥・潅水法、開花調節、開花予測技術の検討
・シンテッポウユリ:生育に合わせた潅水法の実証、細霧ミスト等利用による高品質化
・トルコギキョウ:夜冷育苗+EOD保温+光照射の併用効果
・アスター:開花調節に効果的な消灯や点灯時期の検討
花壇苗:EOD光照射+EOD加温(保温)+わい化剤処理の検討
枝物:サルトリイバラの簡易落葉法の検討
シバ:砂土栽培法の検討、生理障害抑制法の検討 | 4,615 |
35 | (1)
(2)
(3)
(4) | 切り花
・ストック:施肥・潅水法、開花調節、開花予測技術の実証
・シンテッポウユリ:生育に合わせた潅水法の実証、細霧ミスト等利用による高品質化
・トルコギキョウ:夜冷育苗+EOD保温+光照射併用の実証
・アスター:光照射法の現地実証
花壇苗:EOD光照射+EOD加温(保温)+わい化剤処理の実証
枝物:整枝法と簡易落葉法の実証
シバ:砂土栽培法のマニュアル化、生理障害抑制法の実証 | 4,615 |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<取り組みの内容>
(1)切り花
・ストック:花穗の徒長を抑えるための潅水管理や、EOD光照射や遮光による開花調節法を確立する。
・シンテッポウユリ:細霧ミストや換気法、潅水方法を検討し、高出荷率、高品質となる栽培法を確立する。
・トルコギキョウ:暖房を使用しないで11〜12月に出荷する新たな栽培法を確立する。
・アスター:赤色光等の点灯、消灯時期の組み合わせによる開花促進や抑制法を検討する。
(2)花壇苗:花壇苗の開花を進め、草姿をコンパクトにする新たな低コスト高品質化法を開発する。
(3)枝物:・ツルウメモドキの一文字整枝、サルトリイバラ簡易落葉のための自然乾燥時間を検討する。
(4)シバ:沈み症(仮称)や黄化症等の生理障害を抑制する方法を確立する。
<現時点における達成度>
(1)切り花
・ストック:@生育後半の施肥・かん水管理が花首徒長やうらごけの発生に影響していると考えられた。A遮光を行うと開花が抑制され、EOD光照射と併用すると開花抑制効果が打ち消された。(達成率50%)
・シンテッポウユリ:@ブラスチングは花芽分化期の強遮光と高温による影響が強い。A定植後のかん水を多くすると、抽台率が向上した。(達成率70%)。
・トルコギキョウ(秋冬出荷):@簡易夜冷育苗でも定植後にEOD光照射を行うと、冷房育苗と同等に草丈が伸長した。(達成率70%)。
・アスター: R(赤色)光や蛍光灯はFR(遠赤色)光より草丈伸長効果が高いことが明らかになった(達成率50%)。
(2)花壇苗:花き類46品目のうち36品目はEOD光照射で開花が促進し、切り花長が伸長した。
(3)枝物:@果樹棚を利用したツルウメモドキの誘引法は、労働時間が慣行栽培の20分の1になった。A出荷前の常温乾燥で葉もぎ作業が省力化できた(達成率70%)。
(4)シバ:@砂土における‘グリーンバードJ’の根は籾殻くん炭や高分子吸収体を施用すると、地表面付近に集まりやすいことがわかった。A黄化症はカッターで断根し、ピートモス等を施用したやわらかな土では発生が皆無であった(達成率60%)。
これまでの取組に対する評価
<H30年度の外部評価(中間)の結果>
評点:13.8 判定:◎
評価委員の主な意見
・花きについて、EODを活用した先進的な技術開発により、競争力の向上が図られていると感じる。
・品目ごとの反応などEOD技術のさらなる完成度を目指して下さい。
・とてもよい成果が出ていると思います。
・花き王国とっとりを目指していただきたい。
・おおむね計画通りであり、さらに品目によっては当初計画以上の成果も感じられる報告です。今後の研究に期待します。
<自己分析>・これまで暖房コストをかけても太平洋側の切り花に太刀打ちできなかった品目が、EOD処理によって低コストで太平洋側並みの高品質化が可能となるものが明らかになってきた。 外部委員による中間評価では、これまでの結果を高く評価していただいた。一日も早く多くの生産者に利用してもらえる汎用性の高い技術に仕上げられるよう、現場とも緊密に連携しながら計画的に試験を遂行したい。
工程表との関連
関連する政策内容
低コスト生産・経営管理技術の開発
関連する政策目標
花き、イチゴにおけるEOD加温栽培管理方法の確立とEOD光照射条件の検討
財政課処理欄
要求額の財源内訳(単位:千円)
区分 |
事業費 |
財源内訳 |
国庫支出金 |
使用料・手数料 |
寄附金 |
分担金・負担金 |
起債 |
財産収入 |
その他 |
一般財源 |
前年度予算 |
4,728 |
0 |
0 |
0 |
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0 |
0 |
0 |
4,728 |
要求額 |
4,615 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4,615 |
財政課使用欄(単位:千円)
区分 |
事業費 |
国庫支出金 |
使用料・手数料 |
寄附金 |
分担金・負担金 |
起債 |
財産収入 |
その他 |
一般財源 |
計上額 |
4,615 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4,615 |
保留 |
0 |
0 |
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0 |
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別途 |
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