現在の位置: 予算編成過程の公開 の 令和元年度予算 の 農林水産部の中山間地園芸作物の安定栽培技術の確立
平成31年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:農業費 目:園芸試験場費
事業名:

中山間地園芸作物の安定栽培技術の確立

もどる  もどる
(この事業に対するご質問・ご意見はこちらにお寄せください)

農林水産部 園芸試験場 日南試験地 

電話番号:0859-87-0306  E-mail:engeishiken@pref.tottori.lg.jp

  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
31年度当初予算額 2,279千円 23,020千円 25,299千円 2.9人 2.6人 0.0人
31年度当初予算要求額 2,279千円 23,020千円 25,299千円 2.9人 2.6人 0.0人
30年度当初予算額 2,335千円 23,041千円 25,376千円 2.9人 2.6人 0.0人

事業費

要求額:2,279千円  (前年度予算額 2,335千円)  財源:単県 

一般事業査定:計上   計上額:2,279千円

事業内容

概略説明

中山間地域は春先の気温上昇が遅く秋冷も早いため園芸作物の生産・販売は概ね6〜11月に限定される。露地では本県の主要品物である白ネギ、ブロッコリーの他、夏秋ピーマン等、施設では収益性に優れる夏秋トマトの産地が形成されたほかは、いずれも多品目の少量生産が行われる小産地である。一方で、高齢化率が高く担い手も少ないことは栽培面積の拡大や新たな産地形成の妨げとなっている。

    このような背景にありながら、本県として農業生産額1,000億円を中長期的目標としており、より一層の省力化、低コスト化を図りながら最大限の高品質化及び多収化及び面積拡大を図る必要が生じている。

事業の必要性

1)トマト夏秋トマトの裂果及び着果不安定の問題は‘桃太郎’から‘りんか409’に品種転換することで解決し反収は確実に伸びている。しかし、現状は‘桃太郎’の栽培基準に沿って管理しているため、かん水、追肥の遅れによる生育途中の萎れや中高位段の草勢低下、低位段の過肥大など様々な問題点が明らかとなった。そこで、‘りんか409’の栽培特性に合わせた栽培基準の策定とともに、各種生理障害の対策技術を確立する必要がある。
2)白ネギ機械移植に対応した200穴セルトレイ直置き育苗技術により大幅な定植作業軽減が可能となったが、移植機械の導入は大規模経営態に限られるのが現状である。そこで、手植え作業の省力・軽労化について従来からあるチェーンポット簡易移植機ひっぱりくんを有効活用した新たな栽培技術を確立する必要がある。
3)ブロッコリー中山間地においての栽培限界は初夏どりは7月中旬、初秋どりは9月中が限界であることが明らかとなったが、未だ花蕾形状の乱れ、小花黄化及び腐敗のリスクは高い。また、5月どりにおけるボトニング回避技術として極早生品種の遅植えに加え施肥体系の変更が有効であることが明らかとなったことから、これらについて対策技術の体系化を図り安定化につなげる必要がある。
4)新規品目アスパラガスについては中山間地で4〜6月に農業収入が得られる数少ない品目であり、茎枯病をはじめとする病虫害の軽減を図りながら多収となる栽培技術の確立が求められている。トルコギキョウは高冷地育苗により端境期の9〜10月に出荷できることが確認されたが、は種期と適品種が未解明である。その他、少量多品目栽培における技術支援が求められている。

事業の内容

1)トマト(1)生育ステージに応じたかん水・施肥技術の検討
・かん水開始時期の設定
pF基準指標の策定
施肥開始時期及び量の解明
(2)主要病害回避対策試験
 ・複合耐病性台木品種の選定と特性解明
(3)生理障害対策技術の確立
裂皮、果梗伸張等の原因究明と対策技術の確立
(4)作期拡大試験
内張り資材の利用による作型延長限界の確認
2)白ネギ(1)越冬大苗疎植栽培によるの7月どり作型の確立
CP直置き育苗技術の確立
・直置き育苗の育苗期間短縮
(2)CPによる省力栽培技術の改良
CP簡易移植機ひっぱりくんの改良
(3)高品質多収技術の検討
・作型別適品種選定
3)ブロッコリー(1)5月どり作型
・極早生品種の選定
・ボトニング対策技術の確立
(2)7月中旬及び9月中旬どり作型
・花蕾障害の少ない品種の検索
・安定栽培技術の検討
4)新規品目(1)アスパラガス栽培技術の確立
・簡易雨よけの有無とかん水方法の影響
・施肥量が収量に及ぼす影響
(2)トルコギキョウ9〜10月どり
・は種期別適品種選定
(3)少量多品目生産を支える栽培技術確立
・夏秋ピーマンの栽培安定化

事業の効果

1)トマト・かん水開始時期及び施肥量を明確に示すことで、適正な生育を促し、高品質多収化が図られる。
・適品種選定により連作ほ場における安定生産が図られる。
・高品質化により秀品率が向上し有利販売が可能となる。
・作期拡大により収量が向上し所得向上につながる。
2)白ネギ・定植作業の大幅な省力軽労化が図られ、余剰労力で栽培面積拡大につなげられる。
CP移植による省力化に加え土寄せ回数削減による省力化が実現できる。
・7月〜11月どりの各作型毎に適品種を選定することで、安定多収が図られる。
・中山間地の夏ネギのシェアが向上し、周年供給産地としてのブランド強化が実現。
3)ブロッコリー・低温リスクの回避により早期収穫が可能となる。
・中山間地の冷涼な気象条件を活かし平坦地とのリレー出荷体系の強化につながる。
4)新規品目・中山間地における施肥、かん水指標の策定により安定多収が期待できる。
・端境期の高品質切り花の出荷により新たな産地育成が期待できる。
・既存品目の安定生産につながるほか、新規品目の提案により新たな産地形成が期待できる。

これまでに得られた成果

1)トマト・‘りんか409’は裂果が少なく高品質多収となり夏秋どり品種として有望と認めた。
・日射制御型拍動自動かん水装置によりかん水の自動化が図られ生育収量への悪影響もなかった。
・植物調整剤フルメットの果房散布により裂果がやや軽減した。
・青枯病抵抗性台木の有望品種を選定した。
・薪ストーブ利用により定植期の2ヶ月前進化、秋期の作期の2ヶ月延長が可能で大幅な増収となった。
2)白ネギ・作期別品種を選定した。
・200穴セルトレイ直置き育苗法を確立し機械定植への実用性が確認された。
・ブロッコリーまたはトウモロコシとの輪作により白ネギの生育は旺盛となり、収量も増加した。
・越冬大苗育苗と疎植の組み合わせにより7月中旬収穫が可能となった 。
3)ブロッコリー・5月どり作型では大苗育苗、トンネル被覆及び施肥改善による収穫期前進化と早期着蕾のリスク軽減を確認した。
・7月及び9月の高温期どり作型では‘SK9-099’が最も有望であったが、多雨年には花蕾の腐敗が問題となった。
4)新規品目・アスパラガスは4月下旬から収穫可能であった。
・ニラは露地、ハウスとも年4回収穫が限度で、それ以上の連続収穫は次年度の収量・品質低下を招いた。
・トルコギキョウ9〜10月どりの適品種と適は種期を明らかにした。

平成31年度の試験内容

1)トマト(1)生育ステージに応じたかん水・施肥技術の検討
かん水開始時期及びかん水量が生育及び収量に及ぼす影響
生育ステージに合わせた施肥量の検討
(2)主要病害回避対策試験
‘りんか409’の栽培特性に合わせた複合抵抗性台木の選定
(3)定植期の前進化及び収穫期間延長による作期拡大試験
無加温作型延長のための内張り資材の効果確認
2)白ネギ(1)越冬大苗疎植栽培による7月どり作型の確立
・直置きトレイの選定
・直置き育苗によるは種期の検討
・断根、葉切りが生育収量に及ぼす影響
(2)CP移植機による深植え技術の検討
・簡易移植機ひっぱりくんの改良
・定植精度の確認
(3)高品質多収技術の検討
・品種特性比較(7月、盆前、夏、秋冬)
3)ブロッコリー(1)5月どり作型
・極早生適品種選定
・低温期の生育促進技術の検討
・施肥体系の改良
(2)7月中旬及び9月中旬どり作型
・は種期別適品種の選定
・高温期の腐敗症状対策技術の検討
4)新規品目(1)アスパラガス栽培技術の確立
・簡易雨よけの有無やかん水方法の違いが生育、収量等に及ぼす影響
(2)トルコギキョウの9〜10月どり
・安定育苗技術の検討
・は種期別適品種選定試験
(3)少量多品目生産を支える栽培技術確立
・夏秋ピーマン品種比較及び接木栽培特性の把握

平成31年度要求額内訳(単位:千円)

平成31〜35年度(1年目)
内容
要求額
全国会議出席等の旅費
220
野菜の栽培管理・試験資材費
2,044
通信費等
15
合計
2,279

事業実施期間

平成31〜35年度(1年目)
年度
H31
H32
H33
H34
H35
総額
事業費
2,279
2,279
2,279
2,279
2,279
12,375

これまでの取組と成果

これまでの取組状況

1 夏秋トマト
・新品種‘りんか409’はこれまで問題となっていた裂果や着果不良が起こりにくく高品質多収であり、県内主要産地において全面導入に至った。また、薪ストーブの夜間燃焼により慣行の前後各2ヶ月の作型延長が可能となったが、無加温ハウスでの作型限界は未解明。
2 白ネギ
・200穴セルトレイ直置き育苗の機械移植への実用性を確認。1穴1粒越冬大苗疎植栽培により収穫期の大幅に前進化し7月中旬収穫が可能となるが6ヶ月の育苗期間は長く実用的ではないと考えられた。
3 ブロッコリー
・初夏取りの安定化について、極早生品種の遅植えと施肥改善及びトンネル被覆による収穫時期前進効果を確認した。高温期出荷作型の限界が7月中旬及び9月中旬であることを確認した。
4 新規品目
・アスパラガス適品種として‘ゼンユウガリバー’を選定した。9〜10月どりトルコギキョウ栽培について育苗期間の低温により抽苔が安定し草丈が十分に確保できることを確認した。

これまでの取組に対する評価

外部評価の結果
評点 12.5  判定 ◎(評点9以上で試験実施)

主な意見
・‘りんか409’で農家収入が増えているのはよいこと。
・問題点の把握とその解決法の見通しが的確で研究の成果が期待できる。
・中山間地は稲作も限定的なため多品種少量生産による収益は非常に重要である。
・平坦地と違う気象条件を生かし、中間産地に後継者が生まれるような生産技術の開発に期待する。

<自己分析>
・夏秋トマトの各種生理障害はかん水施肥技術の確立により回避できる可能性がある。
・白ネギ越冬大苗育苗では通常6ヶ月の育苗期間を要するため、本県で確立した直置き育苗法を活用して早期に大苗が育成できる方法について検討を加えることとした。

財政課処理欄


要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 2,335 0 0 0 0 0 0 0 2,335
要求額 2,279 0 0 0 0 0 0 0 2,279

財政課使用欄(単位:千円)

区分 事業費 国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
計上額 2,279 0 0 0 0 0 0 0 2,279
保留 0 0 0 0 0 0 0 0 0
別途 0 0 0 0 0 0 0 0 0