番号 | 主要事業・主要制度 | 事業概要・スケジュール |
1 | リモートセンシングを利用した湖沼観測システムの開発 (トータルコスト予算額7873千円) | 水質浄化や自然再生・保全のための施策強化に資するため、県内湖沼の汚濁状況や変化を把握できる衛星モニタリング手法を開発する。(H26〜27年度)
→・平成26年度は、無人航空機に搭載した近赤外線カメラにより、中海での海藻空撮技術を確立し、現地データとの換算アル ゴリズムを開発する。 |
2 | 東郷池における住民意識を取り入れた新たな環境指標の検討 (トータルコスト予算額5030千円) | 東郷池を対象として、住民意識を取り入れた新たな環境指標を開発し、より住民ニーズを反映させた湖沼対策の推進や住民意識の向上に活用する。(H25〜26年度)
→・H26年度は、水色と環境基準項目との関連性を解析し、新指標の数値化を行う。 |
3 | 湖山池の環境変化に伴う生物多様性・生態系評価及び自然再生方法の検討 (トータルコスト予算額25420千円) | 湖山池の汽水域化に伴う生物多様性や生態系の変遷を評価するとともに、シードバンクを活用した在来の水生植物による自然再生手法を検討する。(H24〜27年度)
→・H26年度も引き続き、湖内の水質分布調査(メッシュ調査)を行う。
・底泥柱状試料を採取し、長期的な環境の変遷を把握する。
・底泥中の種子による水生植物の発芽・生育試験を行うとともに、塩分導入により衰退したヨシ、ガマの再生に取り組む。
・水生植物のモニタリング調査を行う。
・特定希少野生動植物であるカラスガイの再生産に取り組む。 |
4 | ホウ素の排水処理技術の開発 (トータルコスト予算額7702千円) | ホウ素の排水処理及び回収技術を開発する。(H25〜26年度)
→・H26年度も引き続き、溶媒抽出法を検討し、逆抽出によるホウ素の回収技術を開発する。
・実廃水への適用試験を行う。
・回収されたホウ素の品質を評価する。 |
5 | 焼却灰の無害化及び再資源化に関する研究 (トータルコスト予算額8624千円) | 一般廃棄物焼却灰の無害化技術(エージング法)の実証化試験、資材化と製品の安全性評価等を行う。(H25〜26年度)
→・H26年度は、処分場内で焼却灰のエージング実証試験を行う。
・無害化された焼却灰の資材化と再生製品の安全性を評価する。 |
6 | レアメタル等希少金属の再資源化に関する研究 (トータルコスト予算額8532千円) | 廃小型電気電子製品等に含まれるレアメタル等の分離・濃縮技術を開発する。(H26〜28年度)
→・H26年度は、廃電子基板の素子等に含まれるレアメタルを調査する。
・レアメタル等の溶媒抽出・電解特性を把握する。
・貴金属の湿式溶解試験を行う。 |
7 | ブラウン管ファンネルガラスのリサイクル技術実証化研究事業 (トータルコスト予算額14617千円) | ブラウン管鉛ガラスの塩化揮発処理による実証施設の設計・設置、経済性の評価を行う。(H25〜27年度)
→・H26年度も引き続き、塩化揮発処理による実証施設で、鉛分離試験を行う。
・鉛回収物、再生ガラス材の品質を評価し、リサイクル手法を開発する。
・経済性を評価し、事業の実施可能性や課題を整理・検討する。 |
8 | 廃棄物・循環資源のリスク管理のための新規試験法の開発 (トータルコスト予算額11330千円) | 廃棄物・再生製品の有害性・安全性評価のための新規分析法を開発するとともに、長期的なリスク評価手法を確立する。(H26〜28年度)
→・H26年度は、廃棄物や再生製品の促進溶出試験方法を開発する。
・溶出液中の重金属等の簡易検査法を検討する。 |
9 | 越境大気汚染(光化学オキシダント)の植物への影響に関する基礎的調査研究 (トータルコスト予算額5599千円) | 光化学オキシダント(Ox)が植物に及ぼす影響の実態を遺伝子レベルで解明し、濃度が上昇した場合の影響を予測・被害防止を図る。(H25〜27年度)
→・H26年度も引き続き、アサガオ、ホウレン草、コマツナを栽培し、目視で被害状況の調査を行う。
・オープントップチャンバー(OTC)を用いて、異なるオゾン環境下で生育比較試験を行い、可視被害発現の有無を調査する。
・被害葉等のオキシダント被害遺伝子の発現状況を調査する。 |
10 | 鳥取県内におけるPM2.5の実態把握に関する調査研究 (トータルコスト予算額5397千円) | PM2.5に含まれる主要構成成分及び高濃度時の挙動等を調査する。(H26〜27年度)
→・H26年度は、濃度の高い時期を中心にPM2.5を採取・分析し、その構成成分を調査する。
・特に高濃度時には時間単位に採取・分析を行い、挙動を把握する。
・韓国江原道で採取した大気粉じんとの比較で、越境大気汚染の実態を調査する。 |
H26年度の取組 | 成果 |
1 湖沼の水質浄化や環境の保全・再生に関する研究の実施
@無人航空機に搭載した近赤外線カメラにより、中海での海藻空撮技術を確立し、現地データとの換算アルゴリズムを開発する。
A東郷池を対象として、水色と環境基準項目との関連性を解析し、新指標の数値化を行う。
B湖山池の高塩分化に伴う生物多様性や生態系の変遷を評価するとともに、シードバンクを活用した在来の水生植物による自然再生手法を検討する。
・湖内の水質分布調査(メッシュ調査)を行う。
・底泥柱状試料を採取し、長期的な環境の変遷を把握する。
・底泥中の種子による水生植物の発芽・生育試験を行う。
・水生植物のモニタリング調査を行う。
・特定希少野生動植物であるカラスガイの再生産に取り組む。 | @無人航空機を用いた湖沼のリモートセンシング撮影に成功した。また、東郷池の赤潮を撮影した画像から、赤潮の濃度分布図を作成することができ、赤潮の発生場所やその濃度等を面的に把握できた。
A感覚指標である「水の色」は、CODや植物プランクトンをはじめ多くの水質を反映し、水質がよいときは緑系の色で、逆に水質が悪いときは茶系色であったことから、新たな水質目標となり得ることを明らかにするとともに、水質がよいときの水の色が「澄んだ黄緑色」で、住民が望む色でもあったことから、水質目標に感覚指標である「澄んだ黄緑色」も設定できることを示した。
B湖山池等の動植物は、1999年以前と比べて、水生植物の種類が大きく減少し、絶滅危惧種もほとんど確認されなかったことから、生物多様性、希少性ともに大きく減少したことが判明した。他の多鯰ケ池、東郷池も同様、生物多様性、希少性ともに減少しており、カナダモ等外来生物の侵入も確認した。また、カラスガイの再生技術を確立し、稚貝を人工的に育成することに成功した。 |
2 廃棄物のリサイクルに資する研究の実施
@ホウ素の排水処理及び回収技術を開発する。
・溶媒抽出法を検討し、逆抽出によるホウ素の回収技術を開発する。
・実廃水への適用試験を行う。
・回収されたホウ素の品質を評価する。
A処分場内で焼却灰のエージング実証試験を行うとともに、無害化された焼却灰の資材化と再生製品の安全性を評価する。
B廃小型電気電子製品に含まれるレアメタル等の分離・濃縮プロセスを開発する。
・廃電子基板の素子等に含まれるレアメタルを調査する。
・レアメタル等の溶媒抽出・電解特性を把握する。
・貴金属の湿式溶解試験を行う。
Cブラウン管鉛ガラスの塩化揮発処理による実証試験で、鉛分離試験を行う。
・鉛回収物、再生ガラス材の品質を評価し、リサイクル手法を開発する。
・経済性を評価し、事業の実施可能性や課題を整理・検討する。
D廃棄物・再生製品の有害性・安全性評価のための新規分析法を開発する。
・廃棄物や再生製品の促進溶出試験方法を開発する。
・溶出液中の重金属等の簡易検査法を検討する。 | @下水汚泥焼却灰と廃石膏を原料にして、ホウ素吸着剤を開発した。吸着剤はエトリンガイトとヒドロキシアパタイトを含んでおり、これら化合物がホウ素の吸着に関与していることが示唆された。また、ホウ素と結合する有機溶媒を用いて、還元分相法で生じたホウ素、レアメタル等を含む酸抽出液から、これら元素を選択的に分離できることを見出した。
A約200日間散水を行いながらエージングすることによって、焼却灰を土壌環境基準に適合させることができたことから、建設資材等へのリサイクルの可能性を見出した。
Bレアメタルを比較的高濃度で含む焼却炉の落じん灰から、塩化揮発法によるレアメタルの分離技術を開発した。また、廃材を利用した貴金属の回収方法を検討した。
Cファンネルガラスからの鉛除去の連続処理が可能であることを確認した。処理条件を検討した結果、処理後のガラスを土壌環境基準及び土壌汚染対策法に基づく含有量基準に適合させることができたことから、無害化ガラスとして、建材等へのリサイクルの可能性を見出した。
D迅速溶出試験の溶出操作として、加温しながらの手振とう撹拌が公定法と同等の溶出量となることを見出した。また、簡易試験装置として、電気化学測定装置の導入し、予備試験を行った。 |
3 地球環境問題と地域環境への対応に資する研究の実施
@光化学オキシダント(Ox)が植物に及ぼす影響を遺伝子調査により明らかにし、Ox濃度が上昇した場合の影響を予測、被害防止を図る。
・アサガオ、ホウレンソウ等を栽培し、目視で被害状況の調査を行う。
・オープントップチャンバー(OTC)を用いて、異なるオゾン環境下で生育比較試験を行い、可視被害発現の有無を調査する。
・被害葉等のオキシダント被害遺伝子の発現状況を調査する。
A黄砂飛来時の化学成分、微生物及び喘息症状悪化要因物質を調査し、健康への影響を明らかにする。
・濃度の高い時期を中心にPM2.5を採取・分析し、その構成成分を調査する。
・特に高濃度時には時間単位に採取・分析を行い、挙動を把握する。
・韓国江原道で採取した大気粉じんとの比較で、越境大気汚染の実態を調査する。 | @露地栽培のアサガオで、平成26年7月のOx高濃度時に可視被害を確認したが、ホウレンソウ、コマツナ等の農産物では可視被害は確認されなかった。また、OTCを用いて、異なるOx濃度の中でコマツナ、ホウレンソウ等を栽培したところ、Oxが低い区画の方が生育がよかったことから、Oxが生育に影響を与えていることが示唆された。
APM2.5の高濃度時の解析結果から、大陸の石炭燃焼や黄砂の影響が示唆された。 |