番号 | 主要事業・主要制度 | 事業概要・スケジュール |
1 | 小幅板(こはばいた)のクロスパネル化による新たな利用価値の創出 (予算額(事業費)2898千円) | 製材小幅板の有効利用・高付加価値化のため、クロスパネル化による新製品を開発する。
(1)小幅板の効果的な乾燥技術に係る試験
(2)クロスパネルの製造試験及び性能試験
(3)CLTの性能評価・品質検証 |
2 | スギ厚板耐力壁の性能安定化技術の確立 (予算額(事業費)2941千円) | スギ厚板耐力壁の大臣認定取得に必要な性能安定化に係る試験を行う。
(1)モデル試験
(2)実大試験 |
3 | スギ一般大径材を活かした新たな芯去り製品の開発 (予算額(事業費)1289千円) | スギ大径材の価値向上と利用拡大のため、芯去り角材の生産技術開発に係る試験を行う。
(1)製品歩止まりの向上と反りの抑制試験
(2)天然乾燥と人工乾燥の試験
(3)乾燥割れの抑制試験
(4)製品の強度性能評価 |
4 | 製材JASに対応した県産材天然乾燥技術の確立 (予算額(事業費)753千円) | 製材JASに対応した天然乾燥技術を確立・マニュアル化するため、気候等に適した乾燥期間や割れ抑制の試験を行う。
(1)樹種・部材ごとの水分量選別方法の試験
(2)効率的に含水率を低下させる部材の置き方・期間の試験
(3)表面割れ抑制効果の試験 |
5 | 直交層を挿入した新しいLVLの住宅用部材としての性能に関する研究 (予算額(事業費)629千円) | 直交層を挿入した新しい県産材LVL製品を住宅用部材(面材(壁・床・天井)、土台など)として実用化するため、必要な性能を 明らかにする
(1)面材の試験体製造・JAS基本性能・曲げ性能・金物接合性能・反り性能の試験
(2)土台の試験体製造・JAS基本性能・接合性能・めり込み性能の試験 |
6 | 燃料用木質バイオマスの水分管理技術に関する実証試験 (予算額(事業費)870千円) | 水分率が低い良質な木質バイオマス(チップ、薪)を生産するため、はい積みされた燃料用丸太の水分率管理技術に関する試 験を行い、効率的な水分率低減方法について検証を行う。
(1)はい積みされた燃料用丸太の水分率現況調査・検証及び効率的低減方法の検討、チップ化後の水分率の測定と検証
(2)燃料用薪の水分率の効率的低減方法の検討 |
H27年度の取組 | 成果 |
『小幅板のクロスパネル化による新たな利用価値の創出』
○クロスパネル製造後に発生する「割れ」を抑制するための手法の確立と実用化
具体的手法
・小幅板の乾燥程度を高める
・板の横接着に接着剤を使わない
・板表面に美観を兼ねたスリット加工を施し、伸縮の「逃げ」を作る
・収縮率の小さい心材を使う
・寸法安定剤(ポリアルキレングリコール)の塗布
○CLT(クロスラミネイティドティンバー)の反りの発生の特徴を明らかにする。
・2室型環境試験器による反り発生試験を行う。 | ○クロスパネル製造後に発生する「割れ」を抑制するための手法の確立と実用化
・割れの抑制には、「小幅板を10%以下に乾燥」「寸法安定剤(原液)2回塗布」が効果的であった。
・クロスパネルをマンションの床として利用することを想定して音響試験をおこなったところ、既存の製品と同程度の性能を得ることが出来た。
○CLT(クロスラミネイティドティンバー)の反りの発生の特徴を明らかにする。
・厚さの異なるスギ板を積層して作られたCLTは、厚さが全て等しい板で作られたCLTに比べ幅方向の反り量が少ない傾向が認められた。 |
『スギ厚板耐力壁の性能安定化技術の確立』
○要素試験(スギ厚板、ダボ)の結果を参考に、スギ厚板は機械等級区分、ダボは密度により区分し、それぞれ区分した材料を組み合わせた実大壁試験を行い、その性能を調べた。 | ○シラカシダボを用いた場合、スギ厚板E110と組み合わせた耐力壁は早期に破壊し耐力性能が低かったが、E70またはE90と組み合わせた耐力壁は壁倍率4.26〜4.98と高い性能を示した。 |
『スギ一般大径材を活かした新たな芯去り製品の開発』
○スギ心去り平角材の乾燥実験
○載荷量と蒸煮時間の違いによる反り矯正の比較検証
○品質評価 | ○目標含水率に達するのに必要な人工乾燥時間が、概ねシミュレートできるようになった。
○分析の結果、載荷や蒸煮時間による反りの矯正は、短時間の乾燥では有効であるが、200時間を超えるような乾燥をした場合は、それら効果よりも乾燥時間が大きく影響することが示唆された。(詳細については木材学会で発表)
○人工乾燥において、高温セット処理をした後長時間の乾燥を行うと、木口付近に多くの内部割れが生じた。割れ止め処理を行っても改善が見られないことから、高温処理時間をできるだけ短くする必要があると思われた。 |
『製材JASに対応した県産材天然乾燥技術の確立』
○遮光率の異なる3種類の寒冷紗巻き及び寒冷紗なしでの天然乾燥における水分量の低減状 況、割れ・カビの発生状況、収縮状況の比較(H26年夏・冬開始分の継続試験)。
○異なる環境条件下(ビニールハウス「換気あり、なし」、露天、室内)に桟積みした実大製材品の天然乾燥における水分量の低減状況、割れの発生状況及び収縮状況の比較と人工乾燥材との色差分析。 | ○H26年夏開始分を取りまとめた結果、スギ厚板(35mm×240mm)は約11日、スギ正角135mmは約3.5ヶ月、スギ平角(135mm×255mm)で7ヶ月、スギ正角 150mmでも9ヶ月でJAS基準(含水率30%以下)を満たした。
○遮光ネットによる、乾燥促進効果は確認できなかった。
○遮光ネットの割れ抑制については、含水率30%時点でみれば、スギ正角120及び 同135で効果が見られたが、それ以外の製材品では確認できなかった。
○割れの発生量ではスギ厚板が圧倒的に少なく、その他の製品ではスギの割れ量がヒノキのそれより多くなる傾向が見られた。 |
『直交層を挿入した新しいLVLの住宅用部材としての性能に関する研究』
○直交層LVLの土台としての性能を明らかにする。 | ○めり込み試験を行った結果、B種(直交層が6枚挿入されたLVL)の縦使いで極めて高い強度性能を示した。 |
『燃料用木質バイオマスの水分管理技術に関する実証試験』
○県内3カ所の燃料用丸太を保管している土場施設で、実際にはい積みを設置し、丸太重量の変化をファコップを用いて調査した。 ○桟の有無による含水率低減効果や、設置開始時期(夏期、冬期)、冬期におけるブルーシート等の被覆効果を調べた。 | ○桟有りの丸太重量減少量は、桟無しに比べ、大きかった。
○冬期においては、桟有りでブルーシート被覆したはい積みの丸太重量減少量が大きかった。 |
課題 | 今後の取組 |
『小幅板のクロスパネル化による新たな利用価値の創出』
○試験終了後、耐力壁の柱に引張せん断が発生したものが3体みられた。このせん断状況は、実際の地震発生時に住宅の破壊や危険な倒壊を招き、住人が脱出できない恐れがあるため、試験荷重時に軸材のせん断を伴わないような壁の改良が必要である。 | ○クロスパネルを生産している協同組合レングス(南部町)や周辺の製材企業に対し、小幅板によるクロスパネルの製品化を働きかける。
○実大寸法のCLTの反り量の経時変化を調べ、小試験体での試験結果との関係を把握する。 |
『スギ厚板耐力壁の性能安定化技術の確立』
○耐力壁の柱に引張せん断が発生した事例があったため、この原因を究明する必要がある。 | ○これまで得られたデータを綿密に整理・検討し、集大成として大臣認定の取得申請に向かう。 |
『スギ一般大径材を活かした新たな芯去り製品の開発』
○木口付近の内部割れを抑える乾燥スケジュールの確立
○乾燥時間の予測精度の向上
○木裏側の節を目立たなくする木取方法
○強度データの集積 | ○高温セットをしない乾燥スケジュールを行い、乾燥時間、品質への影響を調べる
○新たな乾燥スケジュールに対応した人工乾燥時間予測シミュレーションモデルを構築する
○品質評価に影響が大きい流れ節が出にくくなる木取方法を検証する
○FFT周波数解析フリーソフトを用いたヤング率推定手法の実用性について検証する。 |
『製材JASに対応した県産材天然乾燥技術の確立』
○ハウスの効果が認められれば、より簡易なハウス施設の考案。
○換気の効果が認められれば、換気の効率を良くする方法の検討。
○ハウスの風・積雪対策。 | ○冬開始分のデータを分析し、季節ごとの違いを明らかにする。
○ハウスの効果を検証する。
○高周波含水率計での精度の高い測定方法を検討する。
○人工乾燥の前処理としての天然乾燥についても研究対象とする。 |
『直交層を挿入した新しいLVLの住宅用部材としての性能に関する研究』
○縦使いの強度性能は高かったが、めり込みの進行により材が割裂して破壊することがあった。安全側での強度設定、接着力の向上が必要。 | ○縦使いの強度性能は高かったが、めり込みの進行により材が割裂して破壊することがあった。安全側での強度設定、接着力の向上が必要。 |