1 事業内容
新品種の導入に取り組んだ梨生産者の経営収支が不安定な5年間に対し、所得減に相当する10a当たり最大40万円の融資を行う融資機関に対し金利相当額(2.95%)を助成する。
また、償還時に改植した新品種の栽培を継続している場合には、償還額の1/2の額を助成する。
【概要】
(1)融資対象者 :琴浦町の梨生産農家で新品種導入者
(2)融資期間 :改植した年から5年間(4年据置)
(3)新品種導入面積:8ha (H21:4ha H22:2ha H23:2ha)
(4)対象新品種 :県育成新品種「なつひめ」「新甘泉」
鳥大育種品種「TH9」「THA-1」
「THA-3」「THD-7」 (品種登録の場合に対象)
(5)融資額 :400千円/10a×5年×8ha
単位:千円
年度 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
21改植 | 16,000 | 16,000 | 16,000 | 16,000 | 16,000 | | |
22改植 | | 8,000 | 8,000 | 8,000 | 8,000 | 8,000 | |
23改植 | | | 8,000 | 8,000 | 8,000 | 8,000 | 8,000 |
合計 | 16,000 | 24,000 | 32,000 | 32,000 | 32,000 | 16,000 | 8,000 |
(6)金利助成額(債務負担行為:金利助成2.95%) 単位:千円
年度 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
融資
総残額 | 16,000 |
40,000 | 72,000 | 104,000 | 136,000 | 136,000 |
金利
助成額 | 0 | 472 | 1,180 | 2,124 | 3,068 | 4,012 |
年度 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 |
融資
総残額 | 120,000 | 88,000 | 56,000 | 24,000 | 8,000 | 0 |
金利
助成額 | 4,012 | 3,540 | 2,596 | 1,652 | 708 | 236 |
(7)償還助成額
(債務負担行為:補助率1/2、償還年に改植園からの出荷が
ある場合)
単位:千円
年度 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 |
合計 | 8,000 | 12,000 | 16,000 | 16,000 | 16,000 | 8,000 | 4,000 |
2 背景
○琴浦町の梨生産者の産地戦略
・梨新品種を計画的に導入することで梨出荷のシリーズ化 を実現し、旬の味を消費者に提供する。
・梨経営の効率化を図るために、適正多品種栽培を実現 したい。
・一流ブランド産地となるためには品種ごとのロットが必 要。栽培面積の早期拡大を図りたい。
3 課題
・琴浦町の主力品種は平成元年当時植栽の「ゴールド二十
世紀」であり、最も生産性の高い樹木を伐採し、新品
種の苗木を植栽することになるため一時的な収入減と
なる。
・家族経営中心の琴浦町の梨農家は、面積拡大による新
植が困難である。
■緊急性■
【価格低迷による不安】
琴浦町の梨栽培面積の約8割を占める二十世紀梨の市
場販売価格は、平成12年以降低迷傾向であり、これま
でのブランド力が低下。特に今年の安値により生活の
不安、将来への不安を抱く生産者がいる。
【消費者の嗜好にあう新品種の組織的な取り組み】
平成18年度から琴浦町の若い生産者が中心となっ
て取り組んでいるチャレンジプラン「新品種でもうけ
る梨づくり」の効果により、産地の再生への気運が盛
り上がっている。
琴浦町がかつてのような梨産地となるためには、ブ
ランド品である二十世紀梨だけではなく、消費者の嗜
好にあう有望な新品種を早急に一定規模栽培し、多様
な要望に適う梨を提供する必要がある。
【新品種の本格導入に向けた支援】
園芸試験場の梨新品種登録以来、琴浦町では新品種
導入に力を入れ、第1段階として品種特性の見極めを
行なってきた。今後は面積を確保する本格的な改植へ
取り組むこととなる。しかし、生産性の高い果樹園を
伐採するため所得の減少となり、意欲の低下が懸念さ
れる。農業所得が回復するまでの間、所得減少に対す
る支援が必要である。
【改植等による新品種導入】
新品種導入を効果的に発揮するためにはできるだけ
年月を掛けず「早く」「一定量」を出荷し産地として
認知される必要がある。
その方法として、
@成木を伐採し苗木を植える「改植」
A成木の全枝を切り、その枝に新品種を移植する
「一挙更新による高接ぎ」 がある。
この方法は果樹園内に品種の混在が起こらないため
管理は容易となるが、品質のよい果実の出荷に5年程度
必要であり、十分な所得が確保できるまでには10年程
度掛かる。
4 目的
新品種の導入に取り組む意欲的な梨生産者に対し、改植後収支が安定するまでの期間について収入減に相当する額を融資及び補助し経営の安定を図る。
5 効果
収入の確保により安心して新品種の導入が図られるため早期に梨産地として定着することが可能となる。