1 概要
小規模高齢化集落の限界化に歯止めをかけ、脱却を図るため、地域の合意のもとに、地域を担う人材として新たな居住者としての移住定住者(Iターン者)の確保や地域外に居住している地域出身者のUターンを促すことが必要である。
このため、新たに地域に居住する移住定住者(I・Uターン者)に対する直接的・間接的支援や、地域の農林業等生産基盤や居住環境の改善等を総合的かつ重点的に支援する。
平成25年度から実施している本事業(平成26年度までに地域プランの策定が必要、事業期間は平成28年度まで)については、移住者を受け入れた集落等では活性化につながりつつある事例もあり、小規模高齢化集落の人口減少対策を切れ目なく行う必要があることから、平成27年度から平成28年度の間に新規に地域プランを策定し、平成30年度までの間に事業を行う集落について、第2期事業期間として支援を行うもの。
2 制度改正の概要
(1)雇用企業等支援の廃止
(2)平成23年度以降の移住者の特例(1年間のみ対象とする)の廃止
(3)住宅を新築・改修する場合の交付決定時期の改正
(4)移住者の住宅取得等支援の家財道具処分費への適用
3 事業内容
(1)対象地域
地区の住民組織(小規模高齢化集落及び小規模高齢化集落に準じる集落、並びに小規模高齢化集落を含む周辺地区)が一体となって、小規模高齢化集落の解消を視野に入れた地域活性化の取組を重点的に行う地域。
※小規模高齢化集落の定義
集落内の世帯数が20戸未満かつ、高齢化率50%以上の集落
※小規模高齢化集落に準じる集落の定義
集落内の世帯数が30戸未満かつ、高齢化率40%以上の集落
(2)内容
市町の中で重点的に実施する地域を指定し、地域プラン(実施計画)を策定した集落に対し、市町が実施する過疎債を活用した取組を県が支援するなど、県と市町が連携した新たな施策や既存施策を総合的かつ重点的に実施する。
一 小規模高齢化集落再生に向けた支援
○地域活性化に向けた計画策定への支援(地域プラン策定)・集落(地域)全体の課題、取組内容、支援体制等、地域の合意形成の内容を計画の中に盛り込む。
→地域プランに要する経費のうち、市町の負担する
額の2/3を支援
○地域の維持活動や活性化に向けた取組支援
・里地里山の再生に向けた取組
農林地の保全対策、景観向上対策、鳥獣被害対策等
・地域活性化対策に係る取組支援
地域資源を活用した取組(所得確保対策)、伝統文化・行事の継承の取組等
・集落内の空き家の除去
集落内に放置されている空き家の除去
→原則、既存事業の補助率の嵩上げにより実施(補助率2/3に優遇)
二 地域に居住するIUターン者への支援
小規模高齢化集落へのIUターン者に対し移住定住促進に係る支援を実施。(※住居移転から3年間を限度)
【主な支援】
・IUターン者への奨励金(250万円/人)
・IUターン者が居住する住宅の購入・改修経費、家賃
補助(上限250万円)
・農林業機械の購入、施設の取得経費への支援(上記の住宅整備と合算して上限250万円)
・子どもの出産祝金(5万円/人・定額)
・高校生に対する通学経費等への支援(上限2万円/月)
※転出抑制効果の取組として、既居住者に対しても支援
・奨学金返済の補填給付
3 事業費
■要求額 20,389千円
【内訳】
(1)小規模高齢化集落再生に向けた支援(8,200千円)
・計画策定、地域維持活動、地域活性化活動経費
(2)地域に居住するIUターン者への支援(12,189千円)
・IUターン者への直接支援
移住者生活支援、住宅取得支援、活動支援等
4 背景
■急激な人口減少社会を迎え、本県の中山間地域においても過疎化、高齢化の波は急激に押し寄せている状況。(H23山間集落実態調査における奥地集落の高齢化率は40%を超える結果)
■「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会による試算では、2040年には若年女性の流出により全国の896市区町村が「消滅」の危機に直面するとされている。
■さらに、2015年(平成27年)には、「昭和ひとけた世代」が全員80歳以上になり、人口・世帯の急減を招き、集落や農林業の維持、伝統文化や土地・家屋の継承等に大きな問題が発生すると言われている。
■特に、小規模高齢化集落においては、すでにこれらの問題を抱える所も多く、地域の担い手の早急な確保と、地域活力を取り戻すための実効的な対策が急務となっている。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
平成25年度から実施している本事業(平成26年度までに地域プランの策定が必要、事業期間は平成28年度まで)については、8集落で地域プランが策定され、計24名の移住者受入れを行い、地域と移住者が一緒になって集落の維持・活性化に取り組んでいる。
また上記のほか、今年度中に5集落で地域プランの策定が予定されており、11世帯の移住が見込みまれている。
【参考】これまでの移住者受入れ実績
(倉吉市)福原集落:3名、弓削集落:4名
(智頭町)八河谷集落:7名、河津原集落:1名、板井原集落:1名
(江府町)杉谷集落:5名、深山口集落:2名、宮市集落:1名
計 24名
これまでの取組に対する評価
平成26年度から事業に取り組み始めた集落では目に見える効果がまだ現れない集落もあるが、移住者が中心となって行うイベントや情報発信により、県内外からの来訪者で集落が賑わい、集落への刺激となったり、移住者の影響で集落の人たちの意識が変わるなど、活性化につながりつつある事例も出てきている。
【集落の声】
・集落自体が若返った感じがして年寄りも元気になり、集落を残していこうという気持ちが強まっている。
・寄り合いでの、移住者が行った具体的な提案に集落の人が興味を持って聞き入り、集会の雰囲気が「やれるかも」という雰囲気に変わった。