1 事業内容
(1)放射線動画システム 整備事業
心臓血管系検査で使用している血管撮影診断・処理解析システム(平成20年5月整備、耐用年数6年)のうち、放射線動画システムについては、平成27年6月バックアップサーバーが故障し修理不能となっている。(平成27年4月でメーカーからの保守部品の供給も終了している。)
バックアップサーバーが使用できない中、放射線動画システムのメインサーバーが故障した場合、画像の保存、処理解析ができないため、診療に多大な影響を及ぼすことから早期の更新整備を行う。
※放射線動画システムは、アンギオ装置などで撮影した放射線動画の保存と電子カルテに連動させるもの。
(2)地域連携システム 整備事業
電子カルテと連動した地域連携システムを導入し、紹介患者に対する返書処理、文書作成事務の効率化を図り、診療所との連携強化を図る。
〔現状〕
病院・診療所訪問をした際、診療所側から紹介状に対する返書の回答ができていないとの指摘を受けて、返書状況の調査を行ったところ、紹介直後の受診報告はできているものの、受診後の治療方針、退院時等患者の治療結果がほとんど報告できていないことが判明した。
現在、稼働している電子カルテでは、紹介患者の管理機能がなく、返書処理が困難となっている。
電子カルテシステムに地域連携システム(ソフト)を追加導入して返書の管理を進める。
ア 導入による効果
(a)紹介状の管理・作成業務の省力化
紹介患者のカルテを個別に開くことなく、一覧画面から作成状況を把握でき、一覧画面から電子カルテの情報を引用しながら文書作成が可能となる。
(b)診療所との連携強化
診療所に対する紹介状の返書漏れを防止しきめ細やかな状況報告を行うことで、診療所との信頼関係を深め、病診連携を強化し、紹介患者の増加を図る。
イ 紹介患者数の推移
H25年度 4,882人
H26年度 4,916人
返書の状況(H27.4月)
紹介受患者数 | 516人 | 割合 |
うち、未受診ほか | 8人 | 1.5% |
うち、受診報告ができていない患者 | 28人 | 5.5% |
うち、受診報告ができている患者 | 480人 | 94.4% |
受診した患者のうち、治療方針まで報告できている患者 | 84人(508人中) | 16.5% |
受診した患者のうち、治療結果までできている者 | 82人(508人中) | 16.1% |
(3)文書管理システム 整備事業
日々発生する同意書、紹介状等の紙媒体の診療記録を「e-文書法」に準拠した電子データを保存するため、文書管理システムを導入し保管スペースの削減と文書管理業務の省力化を図る。
〔現状〕
平成19年度、電子カルテシステムが稼働したが、同意書、紹介状など原本保管が必要な紙文書が日々発生している。紙媒体の診療記録は、カルテ庫に保管しているが、収納に余裕がなくなりつつあり、今年度末には、保管場所の確保ができない見込みである。
また、厚生局からの指摘を受けて、入院診療計画書等の原本管理を開始したことに伴い、取込、保管、払出等の文書管理事務が急増している。
※e-文書法とは、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の2法を総称して「e-文書法」という。平成17年4月1日施行され、民間事業者等及び行政機関における電子媒体の保存が適法化された。
※文書管理システムとは、紙媒体の診療記録を取込み、取込んだデータを電子カルテシステムから一覧表示することができる。また、取込んだデータにタイムスタンプ、電子署名を付与することでe-文書法に準拠した対応が可能となる。
ア 導入による効果
原紙の電子化により医師等の作業効率の向上を図るとともに、
紙文書保管スペースを削減し、文書管理業務の軽減化を図る。
2 所要経費及び財源
資産購入費60,939千円(※1、※3)
(単位:千円)
医療機器 | 金額 | 財源 |
企業債 | 県補助金(※2) | 内部留保 |
放射線動画システム | 27,492 | 13,700 | 13,700 | 92 |
地域連携システム | 9,787 | 4,800 | 4,890 | 97 |
文書管理システム | 23,660 | 11,800 | 11,800 | 60 |
合計 | 60,939 | 30,300 | 30,390 | 249 |
※1 病院事業交付金の医療機器枠外で購入
※2 地域医療介護総合確保基金を活用
※3 病院事業交付金の枠外として、一般会計からの繰出しを要求する(企業債元利償還金の1/2)
(第2期病院事業交付金に係る機器購入分の整理として、電子カルテの更新及び医療政策上の機器整備については、第1期と同様、施設整備に準じ機器購入の総枠に含まないこととしている。)
同基金は、国が医療・介護事業を推進するため、消費税増収分を活用し新たに創設したもので、各都道府県が設置する。各都道府県は、都道府県計画を作成し、当該計画に基づき事業を実施する。