1 事業概要
平成28年熊本地震等の既往の災害による教訓を踏まえ、災害時に迅速かつ的確に食料等の救援物資(県と市町村の連携備蓄物資、応援協定等による緊急調達及び他県等からの応援物資)を被災者へ届けるための検証を行い、具体の仕組みを構築する。
また、この検討の中で、本県の広域防災拠点の役割等を改めて整理し、当該拠点の整備方針の検討に活用する。
2 事業内容
○国、県、市町村、関係機関等による「災害時物流確保対策検討会(仮)」を設置し、災害時の救援物資の供給について課題や教訓を検証するとともに、各機関の役割等を整理し、「災害時物流確保オペレーションマニュアル(仮)」を取りまとめるとともに、関係機関相互の連携体制を構築する。検討に当たっては、既往の災害で実経験を有する被災地の行政担当者、物流事業者、研究者等からアドバイスを得ながら、より実態に即した体制を構築する。
○県と市町村で運営する防災対策研究会において、熊本地震の派遣職員からの意見(別途アンケート調査を実施。特に避難所運営に必要な物資を集中点検)を参考に、「県と市町村の連携備蓄」の緊急点検を行い、連携備蓄の品目、数量、役割分担について精査を行う。
○連携備蓄による物資の整備については、通常の備蓄に限らず、災害時に安定的に緊急調達ができることを念頭に置いて調達体制についても検討を加え、必要に応じて導入する。(例:メーカー等での物資備蓄を委託 等)
3 所要経費
(1)検討会アドバイザーの招へい(新潟からを想定)
謝金@30千円×2人×2回=120千円
旅費@90千円×2人×2回=360千円
(2)検討メンバーの招へい
謝金@210千円×3回=630千円
旅費@247千円×3回=741千円
(3)連携備蓄の緊急点検
4 背景・目的
○報道等によれば、平成28年熊本地震では、長期間にわたって避難所において食料等の物資が不足する事態が発生した。
○上流側(国・県等)の物資支援と下流側(被災自治体)の集配処理のバランスが崩れた等、いわゆる「ラストワンマイル」問題が原因のひとつと考えられ、同様の事例は既往の災害でも見られている。
○本県では、県地域防災計画で緊急輸送体制を確保するために物流専門家の派遣を要請する等の基本方針は定めているが、災害時の物流に関係する各機関とあらかじめ連携を進め、より具体的な役割や手順等の対策を講じておくことが必要。
○また、基本的な考え方は発送元から各避難所へ物資を直送することであり、そのためには避難所ごとの支援ニーズを的確に収集・整理することであるため、これを実現するための具体の体制構築とシステム整備が必要。
○さらに、「県と市町村の連携備蓄」(※)についても必要な点検を加え、応急調達による物資の供給体制の整備と、あらかじめ備え持つ備蓄物資の整備を両面から行うことでより強固な体制が整備できる。
(※平成12年に発災した鳥取県西部地震の教訓を踏まえ、防災備蓄として県と市町村の役割分担をあらかじめ定めた上で連携して備蓄を行う「県と市町村との連携備蓄」制度を平成13年から導入している。)
5 検討結果の反映
検討結果を通じて、次の施策等に反映させる。
- 多様な災害に対応した救援物資の物流対策を確保する観点から、広域防災拠点の機能や立地条件等を再整理し、必要に応じて整備事業の見直しを行う。
- 県地域防災計画を年度内に修正する等の対策を整備する。
- 物流の体制整備に必要と認められる経費については改めて予算要求を行う。(例:物流処理システムの構築、倉庫の借り上げ、先進地視察 等)
- 連携備蓄として新たに県が整備する必要性が認められる物資の購入費や各種経費については、改めて予算要求を行う。(例:段ボールベッド等の高齢者対策用品、避難所のプライバシー対策用品、自家用車避難者向けの支援用品等の常時備蓄、メーカー預かりのための委託費、工場における緊急物資製作の開発費、倉庫の借り上げ費用、先進地の視察費用 等)