1 事業の目的・概要
(1)危機管理局内の運営・連絡調整、防災業務にかかる業務の円滑・確実な実施により初動体制等の強化を図る。
(2)大規模災害発生時においても、実効性ある業務継続計画(BCP)を策定し、継続的運用を図る。
(3)「鳥取県と徳島県の危機事象発生時相互応援協定」に実効性を持たせるため、両県の医療、経済分野等の同様な団体による業務継続のための連携を働きかける。
(4)住家の被害認定及び罹災証明の業務を自ら実施することが出来るだけではなく、技術的な指導が出来る人材を育成する。
2 主な事業内容
(単位:千円)
| 項目 | 内容 | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | 災害時等における鳥取県版主要業務の継続計画推進事業 | 推進会議開催経費 | 〇オール鳥取県でBCP策定を進め、各分野との連携を図り、更なる計画策定と継続的運用を進めるため、各分野の代表者を参集する推進会議を年1回程度開催。
〇BCP策定推進と継続的運用に助言をいただくアドバイザーを設置する。 | 120 | 119 | 委員単価増に伴う増額 |
BCP普及・啓発 | 〇BCP普及啓発セミナー、策定ワークショップを実施
〇既にBCPを策定している市町村を対象として、BCP改善のためセミナーを開催 | 60 | 60 | |
オール鳥取県版BCP連携訓練 | 〇BCPの課題抽出や実効性向上を目的として、継続的に訓練を実施する。
〇平成29年度まで業務効率推進課、平成30年度は人事企画課で実施していた地方機関(東部・八頭、中部、西部、日野)の訓練を危機管理局で実施。 | 1,140 | 1,176 | 金額精査 |
2 | 徳島県との危機事象発生時相互応援協定具体化事業 | 各分野での連携強化に係る費用負担 | 〇自治体を除く県内の企業、医療、福祉等の様々な分野団体に対し、徳島県側の団体等との連携を図り、応援受援体制構築(業務継続を含む)を推進するため、情報交換の場に係る経費を負担する。
(1)各団体の情報交換に係る経費の支援
- 事業主体:鳥取県内に活動の拠点を有する民間団体
- 対象経費:旅費、会場代、資料代、その他必要と認める経費
- 上限:100千円/団体
(2)両県BCPのさらなる促進のためのモデル事業の実施
- 事業主体:鳥取県内の企業・商工団体
- 対象経費:旅費、会場代、資料代、その他必要と認める経費
- 上限:100千円/団体
| 100 | 100 | |
3 | 住家の被害認定・罹災証明業務の指導者育成事業 | 住家の被害認定・罹災証明業務の指導者育成 | 〇鳥取県及び県内市町村の職員を対象として研修会(座学及び演習)を開催。また、他の自治体等から応援職員が参集した際に全体調整を行なう指導者を育成する。 | 400 | 400 | |
4 | 防災総務事業 | 鳥取県防災顧問(17名) | 〇災害発生時に防災に関して専門的な立場からの指導・助言を受け、迅速かつ適切な防災対策を実施するための顧問に係る経費
〈防災顧問の職務〉
- 災害発生時の防災対策への助言、指導
- 防災に関する意見交換
- 防災に関する県民啓発のための講演等への協力
| 597 | 556 | 委員単価増及び防災顧問(2名)の増員に伴う増額 |
防災会議 | 〇鳥取県地域防災計画(防災関係機関が処理すべき業務を定め、防災活動を計画的に行い、住民の生命及び身体、財産を災害から保護するための計画)の作成、修正及び実施
〈委員等人数〉
| 701 | 694 | 委員単価増に伴う増額 |
危機管理トップセミナー | 〇市町村長や鳥取県幹部職員を対象とした災害時の対応のあり方等に関するセミナー実施に係る経費 | 208 | 208 | |
都道府県消防・防災・危機管理部局長会に係る分担金 | − | 30 | 30 | |
危機管理局の管理運営 |
- 危機管理部内の連絡調整、管理運営経費
- 防災対策のための体制整備及び被害情報の収集・整理
- 防災対策のための国、県、県内機関との連携
| 9,008 | 9,008 | |
| | | 合計 | 12,364 | 12,351 | |
3 背景、前年度からの変更点等
(1)災害時等における鳥取県版主要業務の継続計画推進事業
東日本大震災の教訓を基に、住民、県、市町村、企業、医療・福祉施設などの主体が、相互にサプライチェーンで深く結びついていることを踏まえ、大規模災害発生時においても業務を継続し、早期に回復させるための業務継続計画(BCP)の策定を各分野(県、市町村、企業、医療・福祉施設)で進めている。
今後も一層の策定推進をし、策定済みの業務継続計画が実行性の高いものとなるよう、訓練や改善を図っていく必要がある。
(2)徳島県との危機事象発生時相互応援協定具体化事業
○平成16年3月17日締結
○東日本大震災の中で生じた教訓や課題等を踏まえ、両県の協定内容を見直し、新たな協定を締結(平成23年11月)
〈新たな協定の特徴的な項目〉
・中四国地区でのカウンターパート制の導入を踏まえた相互応援体制の構築
・市町村、企業、医療・福祉分野等、県を挙げた早期復旧支援及び業務継続体制構築の推進
・危機事象発生後の時間の経過に応じた応援・受援体制を定めた「相互応援活動要領」の策定
→協定の中で、震度6弱以上の場合は、応援県は危機事象発生県の要請を待つことなく、支援を自動発動で行うこととしている。
○平成28年の熊本地震で顕在化した課題を踏まえ、両県の協定内容を見直し、新たな協定を締結(平成28年9月)
〈新たな協定の特徴的な項目〉
・地域を挙げた支援の強化
・災害対応業務の標準化の推進
・マンパワー支援の拡充
・物流支援
・広域応援
〇令和3年11月15日の徳島・鳥取両県知事会議での合意事項を踏まえ、新たな協定を締結(令和3年11月)
〈南海トラフ地震等に備える危機管理対応の連携強化〉
・災害ケースマネジメントをはじめ最近の災害を踏まえた先駆的な取組み
・DX、GXの積極的な活用と取組みの全国への波及
・ウイズコロナの成果を踏まえ、アフターコロナを俯瞰した取組み
・南海トラフ地震等を想定した、訓練の充実や事前復興の推進
〈コロナ第6波に共に立ち向かう情報連携〉
・関西圏からの感染拡大の兆候と見られる情報の迅速な共有
〈コロナ物資の相互応援〉
・感染症の急拡大に伴い医療物資等が不足する側への支援体制の構築
(3)住家の被害認定・罹災証明業務の指導者育成事業
○国の説明会後に伝達研修として県職員が講師となり実施していたが、講師に実務経験がなく、即戦力となる人材の育成は困難であった。また、伝達研修において全体調整を行う観点は無かった。
○平成28年の熊本地震では、市町村職員が被災等により、被害認定等の一連の業務を迅速かつ確実に遂行する調整機能が機能しておらず、被災地に他県等から応援職員が多数派遣されてはいたが、業務の着手や進捗管理に遅れが生じていた。
○被害認定業務及び罹災証明の発行業務は一義的には市町村の業務であるが、本県の場合、市町村で対応しきれない場合には県に応援要請が行われるようになっており、被災市町村が機能しない場合のバックアップ機能として、県職員も技能を高めておくことが必要である。
○近年、様々な災害が全国で頻発しており、都度、制度が改正されているため、外部講師の招へいも検討する。
(4)防災総務事業
○鳥取県防災顧問について、北朝鮮による相次ぐミサイル発射など我が国を取り巻く国際情勢の変化及び、全国的に大雨・台風による災害が激甚化している状況を踏まえ、国民保護対策及び洪水対策の専門家を新たに顧問として委嘱。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【事業目標】
平時から災害が発生した際に即応できる体制、環境を整備していく。
【取組状況・改善点】
(1)災害時等における鳥取県版主要業務の継続計画推進事業
県は、市町村、地方機関、医療・福祉関係機関、民間企業等と合同で「オール鳥取県BCP連携訓練」を開催し、連絡系統を確認するとともに、各機関のBCPに齟齬がないよう確認を行なっており、今後も各機関と連携、協力してBCPが実効性の高いものとなるよう訓練や改善を図っていく。
(2)徳島県との危機事象発生時相互応援協定具体化事業
鳥取県・市町村以外に4団体が相互応援協定を締結しており、令和元年度には鳥取、徳島両県の聴覚障害者支援団体3者間((公社)鳥取県聴覚障害者協会、(社福)徳島県社会福祉事業団、(特非)徳島県聴覚障害者福祉協会)で手話通訳者等の派遣に係る協定を締結するなど、応援受援体制の構築を進めている。
(3)住家の被害認定・罹災証明業務の指導者育成事業
研修会を毎年実施することとし、中部地震後の平成29年からは、実務経験者の事例報告を行うなど、経験が継承されるよう取り組んでいる。
より多くの市町村担当者が参加可能となるよう、オンライン会議形式での座学の研修を2回(調査員向け、調査マネジメント担当者向け各1回)開催するとともに、令和2年度からは鳥取県中部地震の被災空き家を活用し模擬調査を行う実地研修を開催している。
これまでの取組に対する評価
(1)災害時等における鳥取県版主要業務の継続計画推進事業
第1回推進会議以降、BCP策定推進のための基本指針の策定作業も進め、平成23年6月に基本指針を取りまとめた。また、それを基にした県庁BCPも同月に完成した。現段階では、他の分野においても順調に作業が進められている。
今後も各分野と連携しながら、多くの主体がBCPの策定を一層積極的に進めることができる方法を検討する等の策定支援や、策定済みの業務継続計画が実効性の高いものとなるよう改善のための支援を行なう。
(2)徳島県との危機事象発生時相互応援協定具体化事業
鳥取県中部地震で、徳島県社会福祉協議会が倉吉市のボランティアセンターの運営を支援した。
(3)住家の被害認定・罹災証明業務の指導者育成事業
他県で災害が発生した場合に、積極的に応援職員を派遣してノウハウは蓄積されている。
引き続き、被害認定調査について知識を有する人員を育成していくことが重要である。
全体調整を行う人員の育成は引き続き課題である。